リアリティのあること

自分にとって何が一番の楽しみかというと、身につけるもの、身にまとうもの、を選ぶことかもしれない。ファッションの世界は、人の暮らしに沿っていて、それでいてとても自由で解放的な表現方法であると感じる。

18の頃から、ずっと大好きで憧れていたブランドがある。今でもきっとそのブランドから受ける影響は大きい。
新店舗が他県に出来るたび、その店へ足を運ぶことを目的の一つにして、旅行したりもするくらい好きだ。
それが今の自分の制作活動に直接繋がっている訳ではないけれど、いつかそのデザイナーさんに自分の作品を見てもらえる日が来たら、それは何よりも嬉しいできごとかもしれない、とよく思う。

人々の日常に優しく寄り添いながらも、スパイスを与えてくれて、心をほぐしてくれる作品。
それがどんな表現方法であれ、そういうものに本当に憧れる。

自分の表現したいものが、人にそんな時間を与えられるような、そんな制作がしたい。

けれども、そう思う一方で、どうして自分は、こんなにも生産性の乏しく、苦しいことをしているだのだろう、ああバカバカしい、なんて思ってしまう時も、正直言ってある。
自分にとってこの制作活動が、リアリティをもっともっと帯びて、全くのひとりよがりではなくなるまで、これから相当な年月がかかりそうだ。

も、やっぱりまだ答えは出ない。
自分が行き着きたいと思っている感触や答えまで、この道で、辿り着きたい。
それが得られるまでは、きっと何があってもやめることができない、そう思う。